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Case Study

【イベントレポート】SSBJ時代を見据えた 非財務開示の情報設計とAI活用

【TOPIX500の統合報告書×2年分、約5,000万語をAI・テキスト解析】日本企業の非財務経営トレンドをデータで捉える、統合報告書の最新トレンドと開示戦略


2026年6月9日(火)、サステナブル・ラボ株式会社が主催するウェビナー「SSBJ時代を見据えた 非財務開示の情報設計とAI活用」が開催され、小口誠司 氏(有限責任監査法人トーマツ パートナー/群馬大学 客員教授ほか)、平瀬錬司(サステナブル・ラボ 代表取締役CEO)が登壇しました。
非財務開示を単なる「人間が読むPDF資料」として捉えるのではなく、AIによるスクリーニングや投資判断にも正しく届く「再利用可能な情報資産(データ資源)」として設計する必要性が、実務的なデータ分析を交えて示されました。


■ 開催概要
日程:2026年6月9日(火)
時間:16:00〜17:30
会場:オンライン開催
登壇者:小口 誠司 氏(有限責任監査法人トーマツ パートナー/群馬大学 客員教授 ほか)
平瀬 錬司(サステナブル・ラボ 代表取締役CEO)


SSBJ時代、非財務開示は「比較可能な情報」へ

SSBJ基準やCSRD対応をはじめ、企業に求められるサステナビリティ情報の範囲は広がり、開示の質は投資判断や取引先選定、採用・エンゲージメントにも影響する局面に入っています。
現在、開示の質は単なる制度対応にとどまらず、投資判断や取引先選定、採用・エンゲージメントにも影響を与える重要な局面を迎えています。

本ウェビナーでは、非財務開示を単なる「人間が読むPDF資料」として捉えるのではなく、AIによるスクリーニングや投資判断にも正しく届く「再利用可能な情報資産(データ資源)」として設計する必要性が、実務的なデータ分析を交えて示されました。

前半では、有限責任監査法人トーマツの小口誠司 氏より、非上場・中堅中小企業にも広がるESGデータ整備の潮流について解説いただきました。サステナビリティデータ標準化機構(SDSC)によるハンドブックの整備や、金融機関を含む多様なプレイヤーの参画は、開示が大企業だけの論点ではなくなっていることを示しています。

中堅・中小企業向けのサステナビリティ情報活用ハンドブックと、データ標準化に向けた動き

問われるのは、誰に何を届けるか

企業がサステナビリティに取り組む際、投資家・金融機関、ESG評価機関、消費者、取引先、行政、従業員・学生など、複数のステークホルダーからの要求を整理して向き合うことの重要性が強調されました。求められる情報は、単に「開示しているか」ではなく、意思決定に使える比較可能性や、企業価値との接続まで含んでいます。
そのため、非財務情報の整備は、アンケートへの回答やレポート作成に閉じた業務ではありません。マテリアリティ評価、内部統制、保証対応、ESG評価への対応、GHG排出量算定、人的資本・人権対応などを、自社の経営ストーリーと一貫させる設計が求められます。

企業を取り巻くステークホルダーとサステナビリティの要求

AI時代の開示は「読まれる前」に評価される

セミナー後半では、サステナブル・ラボCEOの平瀬より、AI時代における非財務開示の具体的なリスクと情報設計のあり方が示されました。
現在、投資家やアナリストの多くがAIを活用して企業情報を一次選別(スクリーニング)する流れが定着しています。しかし、人間にとって見やすく美しいPDFであっても、「画像化されたテキスト」「セル結合された複雑な表」「崩れた見出し階層」などは、AIにとっての「誤読・未読」を引き起こし、企業価値が正しく伝わらない重大なリスクとなり得る可能性があるため、必要なのは、見栄えの装飾ではなく、「AIにも人間にも誤解なく、構造的に伝わる情報設計」であると強調しました。

AIが最初の読者になりつつあるなか、開示は「誰が読むか」だけでなく「AIがどう要約するか」も問われる

PDF中心から、再利用できる情報資産へ

さらに、平瀬からは従来のようにPDFを最終成果物として捉えるのではなく、HTML、FAQ、CSV・数表、Transcript、Metadataなど、用途ごとに解体・構造化された「正本(Canonical Source)」を社内に構築するアプローチが提案されました。
これを基盤とすることで、AIクローラーによる一次参照や、投資家からの時系列比較に耐えうる柔軟なデータ運用が可能になります。
開示は、読み手が一度だけ目を通す静的な資料から、さまざまな文脈で再利用される情報資産へと変わりつつあります。

PDF中心の開示から、HTML、FAQ、CSV・数表、Transcript、Metadataなど用途別に解体されたデータ資源へ

■ まとめ

今回のウェビナーは、非財務開示を「義務化への対応」としてではなく、企業の持続可能性や将来性を社会に伝える共通言語として捉え直す機会となりました。制度対応、ステークホルダー対応、AI活用は別々の論点ではなく、いずれも信頼できるデータと一貫したストーリーの上に成り立ちます。
SSBJ時代の開示では、比較可能なデータ、企業価値と結びついた説明、そして人にもAIにも読み取られる構造が重要になります。非財務情報を「提出する資料」から「伝わり、使われる資産」へと進化させることが、これからのサステナビリティ経営における実務上の鍵になりそうです。


■登壇者紹介

小口 誠司 氏(有限責任監査法人トーマツ パートナー/群馬大学 客員教授 ほか)
コンサルティング会社及び大手監査法人を経て現職。2017年から2021年までデロイトタイにて日系企業グループリーダーを担当。帰任後は財務諸表監査に従事するとともに非財務サステナビリティ開示に関するコンサルティング業務に軸足を置いて活動中。会計大学院協会主催の非財務サステナビリティ領域に関するセミナー等、登壇多数。公認会計士。サステナビリティ情報審査人。

平瀬 錬司(サステナブル・ラボ 代表取締役CEO)
大阪大学理学部卒業。在学中から環境、農業、福祉などサステナビリティ領域のベンチャービジネスに経営企画や環境エンジニアとして携わる。これら領域において2社のバイアウト(事業売却)を経験。(社)サステナビリティデータ標準化機構・代表理事や京都大学ESG研究会講師を務める。非財務ビッグデータに関する執筆・講演多数。


AIフレンドリーなサステナビリティ開示へ

情報の読み手が「人」から「AI+人」へと広がる中、AIに“正しく解釈される”ことが、これからの開示における重要な前提となりつつあります。サステナブル・ラボは、守りと攻めの両面から、AIフレンドリーなサステナビリティ開示の実現を支援します。

Case Study

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