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Case Study

SSBJ対応を開示作業で終わらせないために―同業他社データを活用したリスク・機会・KPI判断の高度化

SSBJ対応を開示作業で終わらせないために

はじめに

SSBJ基準への対応が本格化する中で、多くの企業では、開示項目の整理、GHG排出量の算定、リスク・機会の洗い出し、統合報告書や有価証券報告書との整合といった実務対応が進み始めています。

一方で、実務現場では次のような悩みも生じています。

  • 「このKPIは、業界の中で見て妥当な水準なのか」

  • 「同業他社は、どのようなリスクや機会を重要視しているのか」

  • 「投資家に対して、自社の目標設定や開示項目の根拠をどう説明すればよいのか」

SSBJ対応は、開示フォーマットを埋める作業だけでは完結しません。自社にとって重要なリスク・機会を特定し、どの指標を開示し、どの水準を目標とするのかを判断する必要があります。
その判断を支える上で重要になるのが、同業他社の開示情報やヒストリカルデータを活用した比較分析です。

なぜ今「データ不足」が問題になるのか

① SSBJは意思決定を前提としている

ISSB/SSBJ基準の特徴は、単なる情報開示ではなく、
「投資家の意思決定に有用な情報」を求めている点にあります。
つまり企業は、

  • なぜそのKPIを設定したのか

  • なぜそのリスクを重要視しているのか

  • なぜその目標水準なのか

を、合理的に説明する必要があります。

ここで重要になるのが、同業他社の開示情報やKPIを踏まえた比較分析です。
SSBJ対応においては、自社のリスク・機会や指標を整理するだけでなく、「なぜその項目を重要と判断したのか」「なぜそのKPIを設定したのか」「その水準は業界の中でどのような位置づけなのか」を説明できることが求められます。

そのためには、自社単独の情報だけでは不十分です。同業他社がどのようなリスク・機会を開示しているのか、どのKPIを採用しているのか、目標水準や実績値がどのレンジにあるのかを把握することで、自社の判断の妥当性や説明力を高めることができます。

② AIの普及で比較の期待値が上がった

生成AIの活用により、

  • 開示文書の要約

  • KPI抽出

  • リスク分類

といった作業は効率化されつつあります。
しかし、AIが情報を整理できたとしても、

  • 「そのKPIは業界内で高いのか低いのか」

  • 「そのリスクは同業他社でも重視されているのか」

  • 「自社の目標水準は投資家に説明可能なのか」

といった判断には、比較可能なデータが必要です。
つまり、AI活用が進むほど、企業間で比較可能な形に整理された外部データの重要性は高まっていきます。

現場で起きている問題

ペルソナ:上場製造業 サステナビリティ担当

シーン① KPI設定

Before
数社比較だけでは、

  • 目標水準が高いのか低いのか

  • 業界内でどの位置なのか

が分からず、戦略判断できない。

After
50社規模の分布データがあれば、

  • 業界中央値

  • 上位企業水準

  • KPIレンジ

を把握でき、戦略的な目標設定が可能になる。

シーン② 投資家対応

Before
投資家から、「競合比でどう評価していますか?」
と聞かれても、定量的な根拠を示しにくい。

After
業界ポジションを可視化できれば、

  • 同業比較

  • 業界平均との差

  • 時系列変化

を踏まえて、説明力を高められる。

シーン③ リスク特定

Before
リスク特定が、担当者や部門の主観に依存しやすい。

After
同業他社の開示傾向やリスクデータを参照できれば、リスク認識を客観化しやすくなる。

何が足りないのか

結論から言えば、不足しているのは「比較可能な他社データ」です。

課題は、企業開示情報そのものが存在しないことではありません。統合報告書、有価証券報告書、サステナビリティレポートなど、開示情報はむしろ増えています。

しかし、それらの情報はPDFやWebページに分散しており、企業間で比較しやすい形に整理されているとは限りません。結果として、実務現場では必要な情報を個別に確認し、Excelに転記し、独自に比較表を作成する作業が発生しています。

SSBJ対応や投資家対応において今後重要になるのは、単に情報を集めることではなく、同業他社の開示傾向、KPI分布、時系列変化を踏まえ、自社のリスク・機会や開示項目を判断するためのデータ基盤です。

ESGデータ活用における新しいニーズ

既存のESGデータサービスは、投資家向けのスコアリングやグローバル比較に強みを持つものが多くあります。

一方で、事業会社が自社の開示項目やKPI設定を検討する際には、より実務的な粒度で、同業他社のKPI実数、開示項目、リスク・機会の記載傾向を確認したいというニーズがあります。

特に日本企業を対象とした比較分析では、国内企業の開示文脈や業種ごとの粒度を踏まえたデータ整理が重要になります。

また今後、企業で求められるのは「必要な時に、すぐ他社データを見れること」です。例えば、

Before
競合比較資料作成に数週間。

  • PDF確認

  • KPI抽出

  • Excel整理

  • 更新確認

を繰り返す。

After
比較データベースから、

  • 業界中央値

  • KPIレンジ

  • 競合比較

を即時確認。「調査」ではなく、「意思決定」に時間を使えるようになる。

まとめ

SSBJ対応は、単なる「開示対応」から「意思決定」のフェーズへ移行し始めています。今後は、

  • KPI妥当性

  • 投資家説明力

  • 業界ポジション

  • リスク判断

など、“比較”を前提とした対応が求められる場面が増えていくでしょう。
そして課題の本質は、単なるデータ不足ではなく「意思決定に使える比較データの不足」とも考えられます。

最後に

御社のKPIは、業界の中でどの位置にありますか?
その問いに、根拠を持って即答できる企業は、まだ多くありません。
SSBJ時代に求められるのは、「開示を作る力」だけではなく、
“比較し、説明し、意思決定する力” なのかもしれません。
もし現在、

  • KPI設定の妥当性に悩んでいる

  • 投資家向け説明の根拠整理に時間がかかっている

  • 他社比較が属人的になっている

  • ESG情報収集に多くの工数を使っている

といった課題を感じている場合は、“比較可能な他社データ”を活用した意思決定基盤の整備が、今後ますます重要になるでしょう。

TERRASTでは、日本企業を中心としたESG・サステナビリティ関連データを、企業間で比較・分析しやすい形に整理したデータセットとして提供しています。

同業他社の開示項目、KPI実績・目標、ヒストリカルデータ、リスク・機会の開示傾向などを確認することで、SSBJ対応における重要性判断、KPI設定、投資家説明、外部環境分析を支援します。

例えば、以下のような問いに対して、根拠を持って検討することが可能になります。

  • 同業他社は、どのサステナビリティ項目を重要課題として開示しているのか

  • 自社のKPI水準は、業界内でどの位置にあるのか

  • 競合企業は、どのようなリスク・機会を認識しているのか

  • 過去数年で、業界全体の開示内容やKPI水準はどのように変化しているのか

SSBJ対応を単なる開示作業にとどめず、自社のリスク・機会、戦略、投資家との対話に活かしていきたい企業にとって、比較可能な他社データの活用は今後ますます重要になると考えられます。

CSRD/SSBJ対応ソリューション

 

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